タイヤ交換を自分で行う時の、ポイントを説明します。読者対象は、タイヤ交換を自分でやりたい初心者の方ですが、慣れた方でも気づきがあると思います。失敗のない確実な手順を解説しているからです。
タイヤ交換を自分で、まずは手順を頭に入れよう!
「タイヤ交換を自分でやりたいけど、さて、何から始めればよいやら…」となってしまう方が多いのではないでしょうか。タイヤ交換をするにあたって重要なのは、手順を頭に入れておくことだと思います。そうすれば、前後に何をすべきかが分かるからです。
ザックリいうと、以下のような手順になるでしょう。
- 車体をジャッキアップ
- タイヤを付け替える
- 車体をジャッキダウン
- ナット(ボルト)の締りを確認
大まかには上記のような手順なんですが、実際に作業するとなると、もっと細かく具体的な説明がないとやりようがないですよね。そこで、何をどうすればよいのか、初めてタイヤ交換作業を行う方のために、初歩的なところから説明しようと思います。
タイヤ交換を自分で、やり方を9つの手順で完全解説!
それでは、タイヤを自分で交換する際のやり方を細かくご紹介します。手順は9つありますので、しっかりと頭に入れましょう。
1.タイヤ交換の準備をする
まずは何といってもタイヤ交換の準備が必要ですよね。といっても、やることは決まっているので特別なことはありません。具体的には以下の通りです。
交換作業用の工具とタイヤを用意する
タイヤ交換に必要な工具とタイヤを用意しましょう。これが、意外と時間がかかるのではないかと思います。工具は割と出しやすい場所にあるかもしれませんが、タイヤは結構出し入れが面倒なところにあったりしますよね。
なので、一通りの工具とタイヤを準備するための時間もそれなりにかかることを考慮して、余裕を持った行動をしましょう。
参考 交換作業用の工具については、こちらで詳しく説明しています。
タイヤ交換に適した作業場所へ移動する
タイヤ交換の場所は重要です。そのまま駐車場で交換する場合は移動がありませんが、そうでない場合は車や用意した工具・タイヤ一式を移動しなくてはいけませんよね。「スペースが確保できればどこでもよいのでは?」と思われた方、ちょっと待ってください。
タイヤ交換では重い車をジャッキ1台で持ち上げますので、地面の硬さが重要なんです。コンクリートやアスファルトの硬くしっかりとした場所が必要で、柔らかい不安定な場所で作業を始めると大変な事故につながりかねません。
ジャッキが沈んだり倒れたりということが起こり得ます。実際に、ジャッキが沈んでしまったために、目一杯伸ばしてもタイヤが浮き上がらないという状況を見たことがあります。なので、タイヤ交換を行う場所はとても重要であることを覚えておいてください。
2.ジャッキアップの準備をする
交換作業でまずすることは、車体のジャッキアップです。車体を持ち上げなければタイヤ交換できませんから、当然といえば当然でしょう。ですが、ここで作業の前に重要なポイントがあります。
ジャッキアップできる状態ですか?
先ほど準備のところでも説明しましたが、ジャッキを置く場所が硬い地面なのか、砂利や石ころがないか確認してください。これを怠ると作業中にジャッキが沈んだり、動いてしまったりと非常に危険です。作業中にジャッキが外れたりしたら大惨事ですから。
もし場所が良くない場合は少し車を移動するとか、石がある場合は掃除するとかしてから作業しましょう。
車体側のジャッキアップポイントはわかりますか?
ジャッキはどこに当ててもよいわけではありません。車体側にジャッキアップポイントというものがあって、場所が決まっています。車体側に三角形などのしるしがあって、そこが当てるポイントになっています。これはご存じの方も多いでしょう。
ところが、一部の車ではサスペンションアームにジャッキを当てる場合があります。特にリジッド式のサスペンションの場合は注意が必要だと思います。なので、作業前に必ず車の取扱説明書に目を通して、どこがジャッキポイントなのかを確認してください。
※ジャッキをサスペンションアームに当てている例
準備ができたら軽く当てて試してみる
ジャッキアップの準備ができたら、実際に軽く当ててみましょう。車体が持ち上がらない程度にほんのちょっとだけジャッキを上げてみるんですね。これでジャッキアップが、間違いなくできることを確認してください。問題なければ次の手順です。
3.ナット(ボルト)を軽く緩める
ジャッキアップの準備ができたら、タイヤのナット(ボルト)を軽く緩めてください。というのも、かなり固く締め付けられているので、ジャッキアップした後では緩められない可能性があるんです(力を込めているうちにジャッキが外れる恐れがある)。
そこで、ジャッキアップの前にほんのちょっとだけ、ナット(ボルト)を緩めるんです。レンチが回ったらそこでやめてください。車体が持ち上がった状態になれば、それで十分緩めることができますよ。緩めすぎは危ないのでやめましょう。
4.車体をジャッキアップする
ナット(ボルト)を少し緩めたら、ジャッキアップします。タイヤが浮き上がるまでひたすらジャッキアップし続けます。油圧ジャッキや電動のジャッキがあるととても便利で、疲労も最小限になりますのでお勧めします。
タイヤが路面から浮いた状態になったらジャッキアップをやめます。一般的には手のひらが2枚入るぐらいの隙間があれば十分です。ただし、タイヤによっては同じサイズでも若干直径が違う場合があるので、隙間が足りなければさらにアップしてください。
ナット(ボルト)を完全に緩める
ジャッキアップできたら、レンチでナット(ボルト)を完全に緩めて取り外します。緩める順番は特にありませんので、順次外してください。取り外した後は、なくさないように注意しましょう。服のポケットに入れれば確実ですよ。
5.タイヤを外す
いよいよタイヤを取り外しましょう。そのまま持ち上げながら手前に引けば、ハブからタイヤが外れます。サイズによってはかなり重いので、十分注意してください。重いタイヤの場合だと、20kgを超えることもありますよ。
なお、ハブとホイールがぴったりはまっている場合は、簡単に外れない場合もあります。そのような場合は多少よじりながら、丁寧に外しましょう。一方で、輸入車の場合はボルトを外した瞬間に「ガタッ」とずれるものがありますので要注意です。
いずれにしても、タイヤは重いので取扱いには気を付けてくださいね。
6.タイヤを付ける
タイヤを外したら、用意しておいたタイヤを取り付けてください。先ほどとは逆の手順でハブにタイヤを取り付けます(重いタイヤの場合は注意!)。この時、日本車やハブにホイールがぴったりはまる輸入車の場合は、ただはめるだけなので簡単です。
輸入車は大変な場合がある?
ところが、ぴったりはまらないタイプの輸入車の場合は大変です。タイヤを持ち上げ続けないとホイールとハブのねじ穴が合わないからです。そのような場合は、ねじ穴に差し込む棒が売っていますので、それを入手しておくととても重宝します。
日本車のようにボルトにホイールを差し込む感じになって、タイヤを持ち上げ続ける必要がなくなりますから便利ですよ。
参考 『ハンガーボルト』とか『ガイドバー』と呼ばれる商品です。
7.ナット(ボルト)を締める
タイヤを取り付けたら、ナット(ボルト)を締め付けていきます。この時のポイントは次の通りです(要するに、一気に締め付けないという説明です)。
まず、すべてのナット(ボルト)を取り付けて、抵抗があるところまでレンチで軽く締めましょう。その後はホイールの中心を出すイメージで、もう少し締めます。ナット(ボルト)の形状を利用して、正しい位置に合わせるという感じです。
あとは、対角線で順番に締め付けます。4穴なら十字型に、5穴なら星を描くように締め付ければ対角線になると思います。これによって、力を均一にかけるんですね。やや強めに力をかけて回らなければ、締め付けはOKです(後で仕上げます)。
8.車体をジャッキダウンする
ナット(ボルト)を締めるところまで出来たら、車体をジャッキダウンします。手回しの場合はかなり緩い力でどんどん下がります。油圧式の場合はいきなり油圧を抜くと、車体がドンと落ちてしまうので、じわじわ抜いたほうが良いと思います。
ジャッキを車体下から抜き取って、次の使用に備えましょう(次がある場合)。
9.ナット(ボルト)をしっかり締める
ジャッキダウンしたら、最後の仕上げをします。ナット(ボルト)をしっかりと締め付けましょう。具体的には、トルクレンチでトルクを設定して締めます。手ごろなアナログ式で全く問題ありませんので、ぜひ入手してください。
やり方は先ほどと同じで、対角線上にナット(ボルト)を1本ずつ締めます。すべてが規定のトルクになったら、タイヤ交換作業は完了です。
参考 トルクレンチの詳しい使い方は、以下のページを参照してください。
まとめ
ここまで、タイヤ交換を自分で行う際のポイントを初心者でもご理解いただけるように説明したつもりなんですが、いかがでしたでしょうか?
タイヤ交換そのものはある程度分かる方は多いと思いますが、交換場所の選び方が重要であることは盲点だったかもしれません。また、意外に知られていないのが、ナットやボルトを締める際は『締め付けトルクが決まっている』という点ではないでしょうか。
かなりの方がナットやボルトを力いっぱい締めればよいと思っているようです。しかし、プロの仕事を見ると分かりますが、必ず最後にトルクレンチでチェックしています。若干の出費にはなりますが、トルクレンチを購入して確実な作業をしましょう。
タイヤ交換は一歩間違えるととても危険な作業です。作業中も作業後も命にかかわるのは間違いありませんので、ぜひ準備万端で取り組んでいただければ幸いです。
以上、タイヤ交換を自分で行う際のポイントを詳しく解説しました。
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