ピレリ(PIRELLI)のパワジー(POWERGY)がどのようなタイヤなのかレポートします。読者対象は、パワジーについて詳しく知りたい方です。筆者の購入体験をもとに、リアルな情報をお伝えしています。
ピレリパワジーについて知る意味とは?
ピレリのパワジーは執筆時点で最新のタイヤですので、「パワジーって一体どんなタイヤなんだろうか?」と興味を持たれて、このページをご覧になっている方は多いと思います。新しいと興味がわくと同時に、よく分からないので不安にもなりますからね。
実は、筆者はピレリパワジーを購入しました。たまたまタイヤ交換の時期に当たったので、どうせならだれも使っていないようなタイヤにしようと思ったんです。もちろん、それ以外にも様々な理由があるんですけれど。
そこで、筆者が現物を見ながらパワジーのレポートをしようと思います。
ピレリパワジーの、知りたい7つのポイント!
それでは、ピレリパワジーの知りたいポイントをご紹介します。ポイントは7つありますので、ぜひすべてに目を通してください。
ピレリはどんなタイヤメーカーなのか?
ピレリはイタリアのタイヤメーカーで、創業は1872年と歴史はかなり古いです。もちろん全世界で販売していて、順位は5~6位(年によって違う)あたりなのだとか。日本ではここ最近、低価格タイヤのメーカーというイメージがあるかもしれませんね。
ですが、技術力は決して低くありません。執筆時点では自動車レースの F-1にタイヤを供給していますし、何といっても低扁平タイヤを世界で初めて作ったのは、ピレリなのだそうです。なのでタイヤ作りには、かなりのこだわりがあるように感じます。
筆者が感じたイメージは、どんなタイヤでも一定レベル以上のグリップ力を持たせることを必須にしているように思います。なので、コンフォートタイヤでもスタッドレスタイヤでもかなりしっかりしたものを作っているんじゃないでしょうか。
このようなメーカーが作る最新のタイヤがパワジーです。どのような製品なのか、詳しく見ていきましょう。
パワジーの製品特徴とは?
ピレリパワジー(PIRELLI POWERGY)は、一言でいうと「エコタイヤ」です。日本のラベリング制度では、以下のような評価となっています。
- 転がり抵抗・・・・・・AまたはAA(サイズにより異なる)
- ウェットグリップ・・・aまたはb(185サイズ以下がb)
- 「低燃費タイヤ」としての認証を取得
筆者が購入したサイズは225/45R17 94Wで、A・aという評価になっています。
ちなみに、ヨーロッパのラベリングでは以下のようになっています。
燃費性能がB、ウェット性能がA、騒音が68dBでAとなっています。ただし、速度記号が違うため(日本仕様はW、欧州仕様はY)、参考程度にとどめてください。
こうしてラベリングの評価だけを見ると、かなりエコタイヤの性格が強そうだということが分かります。ですが、スポーツ性が低いのかというと、そうでもなさそうなんですよ。その辺についてさらに深堀していってみましょう。
パワジーはどんな位置づけのタイヤなのか?
ピレリパワジーは、スポーツとコンフォートのちょうど中間に位置します。また、ランクとしてもほぼ中間に位置します。ピレリのプロダクトマップを見てみると、以下のような位置づけになっていて、まさにどこから見ても中間の存在です。
※ピレリ総合カタログ2022より
プロダクトマップで象徴的なのは、パワジーと P ZERO NERO GT(以下NERO GT)が同じプレミアム度である点ではないでしょうか。実は、海外のタイヤ情報サイトでは NERO GTの後継品としてパワジーを紹介している場合もあるんです。

商品性が違うので、「本当にそうだろうか?」と思ってしまいますが、NERO GTの販売が在庫限りとなっていることを考慮すると、あながち間違いとも思えませんね。おそらく、エコなのにスポーティな製品が、パワジーなのではないでしょうか。
パワジーの特筆すべきポイントとは?
性能面でポイントとなるのは、静粛性ではないでしょうか。欧州のラベリングでは 68dBとなっていますから、かなり静かだと思います。おそらく、トレッドパターンの工夫やコンパウンド(ゴム)の質を改良したからなのでしょう。
特に、コンパウンドの改良は重要で、重量も軽くなっているそうです。軽量化によって低燃費に貢献しているらしいので、やはりコンパウンドの研究が進んだのは大事なポイントなんだと思います。
あと、ちょっと変わったところでは、パワジーの開発やテストはバーチャル空間で行ったのだそうです。仮想現実でタイヤを走らせて、ウェットや騒音など様々なテストを実施したのだとか。これによって試作品を大幅に削減でき、エコにもなったそうですよ。
今までありそうでなかった開発手法かもしれませんね。
パワジーの重量を測ってみました
パワジーの重量は実測値で 9.6kgでした。この重量は特別軽いわけではありませんが、重いということでもありません。普通の重量という感じでしょうか? ミシュランやコンチネンタルよりは重く、日本メーカーよりは軽いですね。
パワジーのインとアウトを調べてみました
パワジーに回転方向はなく、内側・外側の指定があります。また、軽点マーク(黄丸)とユニフォミティマーク(赤丸)がついています。インサイドに「MADE IN CHINA」とありました。一応リムガード形状で、サイドは少し盛り上がっている印象です。
パワジーのUTQG表記を確認しました
※パワジーのUTQG表記
パワジーのUTQGは「TREADWEAR 300、TRACTION AA、TEMPERATURE A」となっていますね。この表記があるということは、アメリカでも売るんでしょうか?(UTQG はアメリカで販売する場合に表示義務がある。)
TREADWEAR 300ということは、「減りやすくも減りにくくもない」という感じだと思います。少なくとも300を超えているので、すぐ減るということはないでしょう。
パワジーの製造年周を確認しました
パワジーの製造年周は【1522】とありましたので、2022年の第15週ということが分かります。つまり、今年の4月中旬(執筆時)製造ということですね。翌月の5月中旬に購入しましたので、出来たてホヤホヤのタイヤが届いたということになります。
ちなみに、欧州では2021年から販売しているようですので、製造年周が古い製品を買った場合は『並行輸入品』ということになるでしょう。
パワジーのトレッドパターンを確認しました
※パワジーのトレッドパターン(上がアウトサイド)
パワジーのトレッドパターンは細い横溝が無いので、どちらかというとスポーティな印象を受けますね(でも、溝の数は多いのでコンフォート的な印象もある)。魚のヒレみたいな独特のカーブが特徴的です。太い縦溝が4本あるので、いかにも雨に強そうです。
タイヤ装着イメージ
実際に装着してみると、丸みのあるタイヤであることが分かりますね。ピレリの場合は、コンフォート系でもスポーツ系でも、割と丸みがある印象です。一般的なリムガード形状とは違って、サイドのふくらみがカバーしていますね。
パワジーを他社製品と比較すると?
ピレリパワジーを理解するためには、他社製品との比較が分かりやすいと思います。タイヤ購入にあたって複数メーカーを比較したんですが、その中でピレリはヨコハマのある製品と立ち位置が似ている印象を受けました。
それは、BluEarth-GTです。ピレリのパワジーとヨコハマのBluEarth-GTがよく似ていると思ったんです。エコ認定を取得しているのに、スポーツ性能もそこそこあるという点が似ていると思いませんか? パワジーもその系統のタイヤだと思うんですよ。
ちなみに、BluEarth-GTも225/45R17 94Wで9.6kgです。UTQG TREADWEAR も300でスペック的にもかなり似通っていますよね。ただし、騒音レベルは71dBらしいので、パワジーのほうがより静かだというデータになります。
パワジーの価格は?
ピレリパワジーの価格は、225/45R17サイズで10,090円でした。今回はYahoo!ショッピングで格安販売している店舗を見つけて購入です。時期によっては楽天で格安販売している時もありますので、要チェックですね。
格安販売では、おおむね10,100円前後になります。これが少し高くなると、11,000円前後になるようですが、さらに高くなると12,800円以上となるようです。なんだか価格が2通りあるような感じなので、注意が必要だと思います。
出来てすぐ(4月下旬製造)のタイヤが格安で手に入りました(5月中旬購入)。かなりお得な買い物になりましたね。
パワジーを選んだ理由とは?
タイヤを新しくしたい車がスポーツカーなので、本来ならスポーツタイヤを選ぶべきところですが、燃費や快適性が良いタイヤに変えたいと思いました。転がり抵抗が低いタイヤなら加速が良くなるというメリットもありますからね。
そのような観点から、「ミシュランのプライマシー4、ヨコハマのBluEarth-GT、ピレリのパワジー」の3点に絞りました。どれも、エコやコンフォートを基本としたタイヤですが、スポーティな部分も持っている製品となっています。
できる限りスポーティな製品を選びたいので、よりスポーツ性能が高いと判断できるピレリを選択しました。他に興味を引くポイントとして、パワジーは新しい開発手法を採用していたり、生まれたばかりの新しいタイヤというところもあります。
決定打になったのは実勢価格です。1本の価格がピレリに比べてヨコハマは2,800円以上、ミシュランは4,000円以上高額である点が大きいですね。タイヤは4本買いますから、金額差はさらに大きくなります。やっぱり安さには勝てません(笑)。
これら条件をまとめると、「新製品のスポーツ寄りエコタイヤが安く手に入る」という点がピレリパワジーを選択した理由になりますね。
まとめ
ピレリのパワジーについてレポートしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
実際に購入すると、メーカーサイトやカタログではわからない細かい部分が見えて、やはり「現物を確認するのは重要だなぁ」と感じました。パワジーはかなり安い部類のタイヤになると思いますが、目で見て手で触れるとしっかり作ってあることがよくわかります。
ところで、ピレリはWebサイトで発信される情報が少ないので、必ず紙のカタログを入手して確認しましょう(大手の自動車用品店で入手できます)。例えば、P ZERO NERO GTが在庫限りだなんて、公式サイトのどこにも書いてありませんからね。
今回は届いたタイヤをくまなく見ただけのレポートですが、パワジーが気になっていた方の参考になれば幸いです。
以上、ピレリパワジー(PIRELLI POWERGY)のレポートでした。
※走行レビューはこちらです

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