ピレリのスタッドレスタイヤ、アイス アシンメトリコ プラスについてご紹介します。読者対象は、ピレリのスタッドレスについて知りたい方です。筆者が実際に購入して、細部まで確認した結果をご報告しています。
なぜ、ピレリ アイス アシンメトリコ プラスを購入したのか?
「ピレリのアイス アシンメトリコ プラスってどんなタイヤなんだろうか?」と疑問を持たれたために、あなたはこちらのページをご覧になられていると思います。他社の製品に比べて知名度が低く素性が不明なタイヤですので、とても気になりますよね。
筆者も気になり、ある程度情報を収集したのち実際に購入しました。使用していたスタッドレスの交換時期が来ていたので、ちょうど良いタイミングだったんです。ですので、間近でかなり細かく調べることができました。
そこで、アイス アシンメトリコ プラスがどのようなタイヤなのか、実際に購入した者の目線で詳しくご紹介しようと思います。
ピレリ アイス アシンメトリコ プラス、知りたい8つの超重要ポイント!
それでは、ピレリ アイス アシンメトリコ プラスについて、知りたいポイントをご紹介します。ポイントは8つありますので、ぜひすべてに目を通してください。
アイス アシンメトリコ プラス、ピレリ社の説明を読み解くと?
アイス アシンメトリコ プラスに関して、まずはピレリ社の説明文を読み解いて、どのようなスタッドレスタイヤなのか探ってみましょう。
以下、ピレリのウェブサイトに掲載されている説明分です。
氷上でのトラクション及びブレーキング性能を向上させるように設計
好評を博したアイス・アシンメトリコに採用されているデュラ・フレキシィコンパウンドをベースに、 シリカ、レジン樹脂、スムースポリマー等の配合配分を改善し、改良型フィラー(充填剤)と プラスティサイザー(可塑剤)の組み合わせがガラス転移点の温度を更に下げ、 柔軟なトレッドコンパウンドの持続性を高めました。それが、デュラブルソフトコンパウンドです。新たに開発されたデュラブルソフトコンパウンドの採用により、性能 (効き)の持続性を向上させ、アイス・アシンメトリコで効果が裏付けられた3Dバタフライサイプ、ソフトコアブロック、スノートラップ等のデザイン技術と融合し、スタッドレスタイヤに求められるトータルバランスを更に高めました。
※ピレリ社 Ice Asimmetrico Plus のページより引用
ここから分かるのは次の通りです。
- コンパウンド(ゴム)を柔らかく保つための成分的な工夫
- 前作のトレッドパターンを継続採用
- トータルバランスの向上
スタッドレスタイヤはゴムが柔らかいことがポイントになりますので、その点を工夫して効きを長持ちさせるよう工夫しているようです。また、トレッドパターン(接地面の模様)はすでに良いことが分かっているので変えていない。
そして、タイヤのトータルバランスが向上したとあるので、アイスバーンに特化しているわけではないことがうかがえます。つまり、このスタッドレスはタイヤとしての基本性能をおろそかにしない製品であることが読み取れるのではないでしょうか。
ところで、メーカーの主張以外に読み取れることは何かあるのでしょうか? 実際に購入した筆者がさらに深堀していきたいと思います。
アイス アシンメトリコ プラスは格安なのか?
ピレリのアイス アシンメトリコ プラスはかなり格安だと思いますが、何と比較してどの程度安いのかという問題がありますよね。日本メーカーのスタッドレスと比較して、まともに使える製品という条件で考えると、相当なものであると思われるんです。
例えば、スタッドレスタイヤの王者ブリヂストンのVRX3と比較すると、コンパクトカー向けサイズであれば2倍強ぐらいの価格差があります。ところがより大きなサイズになると、その差はさらに大きく広がります。
17インチのVRX3 は執筆時点で単価3万円ぐらいするようですが、ピレリなら1万円強ぐらいなんです。大きい場合は3倍ぐらいの差になるんですね。でも、性能に3倍の差はありませんので、格安でお得な製品だといえると思います。
筆者はこの価格差に強く惹かれて、ピレリ購入を決意しました。ちなみに、年数が古くなっているタイヤだと安く購入できます。
アイス アシンメトリコ プラスのサイズラインナップは?
アイス アシンメトリコ プラスのサイズラインナップですが、そんなに幅広く用意されていないようです。ここがこのタイヤの弱点ではないでしょうか。おそらく、多く見積もっても15サイズぐらいしかないと思われます。
具体的には、コンパクトカー向けと思われる175/65R14から、最大は225/45R18あたりまで揃っているようです。売れ筋のタイヤサイズはそろっている印象なので、どうしても履きたいということであれば、インチダウンやアップでの対応となります。
ちなみに、前作であるアイス アシンメトリコ(「プラス」がつかない)モデルも併売していて、それを合わせると60サイズぐらいになると思われます。つまり、「対応サイズが無い場合は前作を購入してください」ということなんでしょうね。
【参考】「プラス」がつくと何が違うのか?
プラスがつくと、コンパウンド(ゴム)の質が変わっているようです。接地面のパターンには、違いがほぼ無いと思われます。メーカーの説明では、「より長持ちするようになった」としていますね。(次の項目を参照してください。)
アイス アシンメトリコ プラスのコンパウンドは?
スタッドレスタイヤで気になるのが、コンパウンド(ゴム)の状態ではないでしょうか。一般的に、スタッドレスは柔らかい方がグリップするといわれていますからね。では、このアイス アシンメトリコ プラスはどうかというと『硬め』です。
手持ちのアナログ式硬度計を使って調べてみると、51~60ぐらいの値を指し示します。比較としてブリヂストンの VRX2(新品)を調べたところ、概ね45未満でした。氷上での性能は特別高くない(普通に効く)のだろうと思われますね。
※最も柔らかいところで51を示しています。
※最も硬いところで59.5を示しています。
おそらく、このタイヤは氷からドライまであらゆる条件下で性能を発揮することを狙っていると思われます。メーカーも「トータルバランスをさらに高めた」とうたっていますから。すると、このスタッドレスを使うシーンが想像できます。
想像されるのは、ドライ路面が多めでたまに雪が積もったり路面が凍結したりといった地域での使用シーンです。これが、冬季間はずっと路面凍結の状態になるような地域だと、合わない可能性があるのではないかと感じます。
アイス アシンメトリコ プラスのトレッドパターンは?
筆者はタイヤの専門家ではないので細かいことはよくわかりませんが、これまで見てきたスタッドレスと比較して、特別変わったところは無いと思います。あえて言うなら、「昔のスパイクタイヤのトレッドパターンぽく見えるかなぁ」という程度ですね。
中央のブロックにギザギザのパターンが刻んであるのが、何となくレトロな雰囲気に見えるんです。ただ、他のタイヤと大きく違うのが、縦溝がかなり太い点ではないでしょうか。この太さは、ウェット性能が高いサマータイヤに見られるものです。
なので、排水性にこだわった作りなのではないかと思います。スタッドレスはウェットに弱いと言われますが、このタイヤは比較的強いのかもしれませんね(もちろん、サマータイヤに勝るものではないと思いますが)。
アイス アシンメトリコ プラスはサイプが多い?
スタッドレスタイヤには、サイプという細かい切れ目のようなものがブロックに刻まれています。このサイプのおかげで、氷上でのグリップが格段に向上するそうですが、アイス アシンメトリコ プラスは数が結構多いんです。
アイス アシンメトリコ プラスはコンパウンドが固いので、ゴムでグリップするというよりは、サイプでグリップするということなんだろうと思います。サイプが細かく入っていると結果的にゴムが軟になるので、ちょうど良いのかもしれないですね。
アイス アシンメトリコ プラスのリムガードは?
低扁平タイヤの場合はサイドが膨らみにくいので、ホイールの淵(リム)を覆うようにタイヤ側がリムガードという形状をしている場合が多いです。ところが、アイス アシンメトリコ プラスは、そのリムガード形状になっていません。
※45扁平でも完全にリムがむき出しですね。
ではどうやってリムを守るのかというと、タイヤサイドが盛り上がることでガード代わりになっているようです。リムガードに見慣れているとなんだか頼りない気もしますが、コスト削減とか何か意味があってのことなのだろうと思います。
見た目に違うだけで性能には影響しないでしょうから、気にするかどうかの問題だけではないでしょうか。
アイス アシンメトリコ プラスのプラットフォームは?
スタッドレスタイヤには、プラットフォームと呼ばれる印がついています。これはスタッドレスタイヤとしての使用限界を示していて、スリップサインとは別です。アイス アシンメトリコ プラスにも、この印はもちろんついています。
ぱっと見では分かりにくいですが、よく見ると雪印があって、そこのすぐ近くに5mmほどのブロックがあります。どうやらこれがプラットフォームのようです。ここまでタイヤが減ったら、スタッドレスとしては使用できなくなります。
プラットフォームまですり減った場合でも、サマータイヤとしては使えます。ただし、おすすめできるものではありません。
その他、アイス アシンメトリコ プラスの気づいた点は?
最後に、アイス アシンメトリコ プラスを実際に購入して気になった点についてご紹介していこうと思います。
速度記号が「Q」になっている
アイス アシンメトリコ プラスは他社の製品と比較してゴムが固いですが、その割には速度記号が「Q」になっています。一般的にゴム質が固いと、速度記号がもっと高いものになっている場合が多いですが、この製品はそうなっていません。
ゴムそのものが固くても、作り方によっては速度が高くならないようですね。実は、接地している部分は意外と柔らかくなっているのかもしれません。氷上性能を重視する製品は速度域が低いので、案外良い傾向なのかもしれないですね。
空気圧の設定はスタンダードロード
外国製のスタッドレスの場合、エクストラロードの設定になっている場合が多いですが、この製品はスタンダードロードになっています。つまり、日本国内向けの製品と同じように自動車会社が指定する空気圧で使うということです。
日本向けに開発したそうですから、その辺は意識しているのかもしれないですね。でも、重い車だと装着できない可能性があるかも…。
新しい製品の入手にはコツがある
一般的に、スタッドレスタイヤは10月から新しい製品が販売されます。ところが、ピレリのアイス アシンメトリコ プラスは12月に入ってからでないと、その年製造の新しい製品が出回らないみたいなんです。
タイヤは専門家による作業が必要なので、スムーズに進めるためには早めに確保しておきたいところですが、このタイヤに限ってはそうはいかないようです。なんだか、メーカーがあまり積極的に売っていない感じがするんですよね…。
まとめ
ピレリ アイス アシンメトリコ プラスについてご紹介してきましたが、どのようなスタッドレスタイヤであるかご理解いただけたのではないかと思います。このような安いタイヤがあることを知っておいて、損はないのではないでしょうか。
ブリヂストンなど高額なスタッドレスタイヤが効くのは当然ですが、安いタイヤも厳選すると割と良いものが見つかります。また、選び方として重要なのは、各々の製品で得手・不得手があるという点を知っておくことです。
日本製スタッドレスタイヤの場合、高額なタイヤほど氷上性能を追求した製品が多いと思います。一方で、氷上性能はほどほどにして、それ以外の点(雪・ドライ・ウェット・耐摩耗性)でかなり高い性能を持っている製品もあります。
自分の住んでいる地域や使い方と適合するタイヤを選ぶことが最も重要です。現在の選び方で本当に問題ないか、今一度検討してみてください。ひょっとしたら、もっと安いスタッドレスタイヤで十分間に合うかもしれないですから。
以上、ピレリ アイス アシンメトリコ プラスをご紹介しました。
※走行レビューはこちらです。
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