トルクレンチの使い方、5つの超・重要ポイント!

トルクレンチの使い方、5つの超・重要ポイント! タイヤ

トルクレンチ使い方を説明します。読者対象は、アナログ式トルクレンチの使い方を知りたい方ですが、デジタル式でも参考になるでしょう。タイヤ交換の際に知っておくべきコツを詳しく解説しているからです。

なぜトルクレンチは、使い方が重要なのか?

「タイヤ交換にトルクレンチを使ったほうが良いらしいけれど、どうやって使えばいいんだろうか?」と思われて、このページをご覧になっている方は多いと思います。確かに、せっかく買っても使い方が分からないのではどうしようもないですよね。

また、タイヤ交換は間違ったことをしてしまうと命にかかわってきますから、やはり正しい使い方をしたいと思うのは当然ではないでしょうか。トルクレンチを使用して確実なタイヤ交換をしたいのに、誤ってしまったのでは本末転倒ですからね。

そこで、実際にトルクレンチを使ってタイヤ交換している筆者が、経験をもとに使い方をできるだけわかりやすくご紹介しましょう。

トルクレンチの使い方、ポイントは5つある!

それでは、トルクレンチの使い方についてポイントを説明します。ポイントは全部で5つありますので、しっかりと頭に入れてください。

トルクレンチの基本を理解する[アナログ、デジタル]

まずは、トルクレンチの基本を理解しておきましょう。ネジやボルトを締め付けるときは単にしっかり締めるということをしがちですが、実はトルクが決まっています。つまり、締めるときの力が数値で指定されているというわけですね。

そこで、規定のトルクで締めるための道具として『トルクレンチ』が登場するわけです。個人が車で使う場合はタイヤ交換での使用が多いと思いますが、ホイールを止めているナット(ボルト)も車ごとにトルクが指定されているんです。

トルクレンチは、トルクを設定できるようになっていますので、規定の値を設定したうえで使用します。すると、設定したトルクに達したときに音で知らせてくれますので、過不足なく正確に必要なトルクで締め付けられるわけです。

今回は、このトルクの設定方法と実際の使用方法を説明しますが、デジタル式と違ってアナログ式の場合は多少知識が必要ですので、その点をさらに解説します。

規定トルクを調べる[アナログ、デジタル]

個人がトルクレンチを使用するのは主にタイヤ交換だと思いますので、そちらをメインにお話していきます。

まず、ナット(ボルト)の締め付けトルクを調べましょう。車ごとに決まっていて、具体的な数値は各車の取扱説明書を読めばすぐにわかります。整備関係やタイヤ交換のページなどがあると思いますので、そのあたりを調べてみてください。

例えば、日産のルークスだと98Nmで、セレナだと108Nmでした。さらに、筆者の愛車であるメガーヌ2RSは130Nmとなっていて、車によってかなりまちまちです。なので、ほかの車の値はあまり参考にならないと思ってよさそうです。

Nmは「ニュートンメーター」というトルクの単位です

トルクレンチにトルクを設定する[アナログ]

早速、トルクレンチにトルクを設定してみましょう。実は、アナログ式の場合にこれが少々ややこしくて、設定が2段階式になっているんですよ。トルクを大まかに設定した後で微調整すると、狙った数値にできる方式になっています。

設定の仕組みを理解するために、以下の写真を見てください。アナログ式トルクレンチは、本体側とグリップ側に目盛りが切ってあります。また、グリップが回転するようになっていて、これを回すことでトルクが設定できます。

トルクレンチの目盛り

グリップの末端がネジになっていますが、そこを締めるとグリップが固定され、緩めると回転できるようになります。早速ネジを緩めてグリップを回せるようにし、トルク設定の準備をしましょう。

まずは近似値でトルクを設定する

最初に、本体側に切ってある数値を見ます。98とか154といった数字が刻んであるので、設定したい数値を超えない範囲で一番近いものを見つけましょう。なぜか中途半端な数値で、なんだか気持ち悪いかもしれませんが気にしません(汗)。

注意 製品によって数値は違うようです。

トルクレンチの設定(目盛りゼロ)
※ この写真では98に設定しています。

近い数値が見つかったら、そこへめがけてグリップを回します。ひたすら回し続けて、数値が書かれている目盛りにグリップの端を近づけましょう。そして、グリップ側の目盛りのゼロと本体側の縦線が合う位置に来たら、回すのを止めます。

ちなみに、基本的には小さい数値で最も近いものに合わせるようです。詳しいことはよくわかりませんが、微調整の際にトルクを減らすという動作をすると、狂いが生じてしまうということなのかもしれませんね。

《車の規定トルクと一致しているならば、ここで設定は終わりです。》

設定例 例えば、98を目指して回すときは?

グリップの端が98の目盛りに到達したと同時に、グリップ側の目盛りのゼロが本体の縦線と一致していればOKです。これで、とりあえず98に設定できたことになります。

続いてトルクを微調整する

トルクを近似値で設定出来たら、目的のトルクになるように微調整します。先ほどは98に合わせましたが、例えば108Nmに合わせたいときは、10Nm足して108にするわけです。

トルクレンチの設定(目盛り10)
※10増やして108になっています

グリップの目盛りは1目盛りが1Nmになっていますので、10Nmなら10目盛り分グリップを回します。このように、本体の近似値(内輪)に細かい数値をプラスして狙ったトルクに設定するのが、アナログ式のトルクレンチです。

トルクが設定出来たら、グリップの末端にあるねじを締めて固定してください。これでトルクレンチは準備完了です!

デジタル式は、数値を入力して設定するだけです。

ナット(ボルト)を締める[アナログ、デジタル]

ナット(ボルト)を締める作業に入りますが、その前に気を付ける点がありますので、まずは注意点にしっかり目を通してください。

トルクレンチを使う前に知っておくべき注意点

トルクレンチを使う前に、ぜひ知っておいていただきたい注意点があります。それは何かというと、ナット(ボルト)を事前にしっかり締めないということです。というのも、トルクレンチで締め付けて仕上げたいからです。

トルクレンチを使う理由は、ナット(ボルト)を「規定のトルクで均一に締める」ところにあります。別の見方をすると、トルクレンチで締められるだけの余地が欲しいんですね。完全に締めた後だと、規定トルクを超えているかもしれないんです。

なので、トルクレンチで仕上げられるように、余地を残しておきましょう。

トルクレンチの使い方とは?

早速トルクレンチを使ってみましょう。使い方はとても簡単ですよ。

トルクレンチの使い方

まず、ナット(ボルト)のサイズに合ったソケットを取り付けます。あとは、ナット(ボルト)を1個締めてみます。先ほど設定したトルクに到達すると、「カチッ!」という音がします。デジタル式の場合は、「ピピピッ!」と鳴る場合が多いようです。

続いて、ナット(ボルト)の基本通り、対角線上に締めていきましょう。4穴なら十字型に5穴なら星型を描くようになると思います。1回で問題ないと思いますが、心配なら2回繰り返して規定トルクで締め付けられたことを確認します。

トルクレンチ、使い方のコツとは?

コツとしては、音が鳴ったらそれ以上は締めないことです。音が鳴ったということは、設定したトルクに達していますから、それ以上やると設定トルクを超えてしまいます。なので、音が鳴ったらすぐに締めるのをやめましょう。

トルクレンチの片づけ方とは?[アナログ]

使い終わったトルクレンチは片づけの前に、重要な処理があります。それは、トルク設定を無効にするということです。これをやらないとトルクが狂ってしまいます。内蔵されているばねにテンションがかかり続けてしまうんですね。

やり方は簡単で、グリップをトルクが減る方向へ一杯に回します。回せないところまで到達したら、それで大丈夫です。アナログ式トルクレンチを長持ちさせるためにも、しっかりと使用後の後処理をしておきましょう。

アナログ式のトルクレンチは、「バネ計りの応用」だと思えばイメージがわくと思います。

まとめ

トルクレンチの使い方をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

トルクの設定方法と使い方について、細かくコツも交えてお話ししましたので、お判りいただけたのではないかと思います。また、ナットやボルトは締め付けトルクが決まっているということも、ぜひ知っておいていただきたいです。

ナットやボルトを締めるときにトルクレンチを使用するのは、規定のトルクで正確に締め付けたいからです。これをやらないと、壊したり緩んだりしかねません。特に、ホイールの締め付けは、均等なトルクにするという極めて重要な目的があります。

ぜひ、トルクレンチを使った正確な締め付けを行ってほしいと思います。そうすれば、ナットやボルトの締め付けで、「どれくらいの強さで締めればいいの?」とか「これでちゃんと締まっただろうか?」といった不安がなくなり、作業効率もアップしますよ。

以上、トルクレンチの使い方について、5つの超・重要ポイントをご紹介しました。

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