車のタイヤの空気圧について適正値を説明します。読者対象は、タイヤの空気圧を自分で点検したい方です。適正な空気圧だけでなく、規格の説明や空気圧が適正でない場合はどうなるのかについても解説しています。
なぜタイヤの空気圧は、適正に保つことが重要なのか?
「タイヤの空気圧って、どれくらいが適正なのかな?」と考えた方がこちらのページをご覧になられていると思います。タイヤは地味な存在かもしれませんが、地面に直接触れている部分であり、命にもかかわる重要な部品なので気になりますよね。
タイヤは空気を利用して機能するものなので、少なくとも全く入っていないのでは話になりません。かといって、多くてもよくないし少なくてもダメです。やはり適正な空気圧に保つことがとても大切であるといえます。
そこで、自動車用タイヤの空気圧はどれくらいが適正なのか、ポイントをご紹介していこうと思います。
タイヤの空気圧、適正にする4つのポイント!
それでは、車のタイヤの空気圧を適正にするポイントをご紹介します。全部で4つありますので、ぜひすべてに目を通してください。
タイヤには適正な空気圧があります
タイヤの空気圧は、空気を入れたり抜いたりすれば変化させられます。それならば、自分の好きな空気圧にしてよいのかというと、そうではないんです。どんなタイヤにも適正な空気圧があるんです。「それじゃあ、どれくらい入れればいいの?」となりますよね。
空気圧には単位があって、現在は【kPa(キロパスカル)】が使われています。以前は違う単位である【kg/cm2(キログラムパー平方センチメートル)】が使われていました。正式な読みだと長いので、一般的には「キロ」と短縮して読みます。
- 200kPa(にひゃくキロパスカル)
- 2.0kg/cm2(にてんぜろキロ)
こんな感じです。この単位を利用して説明すると、下は200kPaから上は270kPaぐらいまでとかなり幅があります。すると、「その範囲内で適当に設定すればいいの?」となりそうですが、実はそうでもないんです。厳格に決められているんですよ。
空気圧の目安とは?
「では、空気圧の目安を教えてください」となりますよね。これは、車ごとに決められているので自分では決められないんです。じゃあどうやって調べるのかというと、一般的には運転席のドアを開けたときに確認できます。
ドアを開けたときに、ドア側か車体側に空気圧を示したステッカーが貼ってあります。それを見れば、一発で空気圧が分かるというわけです。例えば、私の車の場合は以下のような値が示されています(つまり、指定の空気圧ということですね)。
前輪…230kPa、後輪…210kPa、スペア…210kPa
(この車の場合は、前後で空気圧が違いますね。)
私の車であれば、基本的にはこの値に従えばよいということになります。当然、車によってこの値は変わってくるので、皆さんの車の値に合わせてください。ところで、「基本的に」と書いたのにはちょっとした訳があります。
実は、装着するタイヤによっては空気圧を変える必要があるんです。かなりややこしい話になりますが、該当する方は次の項目もしっかり目を通してください。
空気圧には規格がある!
車に空気圧を示したステッカーが貼られていますが、それは標準装着タイヤの規格に合わせたものです。その規格とは【ロードインデックス(LI)】と呼ばれるもので、対応できる空気圧の限界値が決まっています。これは車体重量と関係があるんです。
サイズ表記と一緒にロードインデックスが示されていて、例えば「195/65R15 91V」とあれば、後ろの方にある「91」という数値がそれにあたります。さらに対応重量の違いから、通常の規格と、重い車用の規格の2通りに分けられます。
具体的には以下のような名前の規格です。
スタンダード規格
【スタンダード規格】とは、ごく一般的な規格のことで、多くの車はこの規格で空気圧が設定されているようです。タイヤサイズの表記に特別な記号がなければ、スタンダード規格だと思って間違いないと思います。
サイズ表記の例 225/45R17 91W
エクストラロード規格
【エクストラロード規格】とは、重い車にも対応できる規格で、一部のタイヤで取り入れられている少数派です。いわゆる低扁平タイヤの場合は空気の量が少ない分、重い車に対応できなくなるんです。しかし、そこを何とかするのがエクストラロードなんですね。
空気をたくさん入れて圧を高められるように工夫することで、同じタイヤサイズであってもより重い車に対応できるようにしています。タイヤサイズ表記に【XL】という記号が追加されますので、一目でわかりますよ。
サイズ表記の例 225/45R17 94Y XL
LI値はどう解釈すればいいのか?
例示したサイズ表記を見れば大体想像は付くと思いますが、数字が大きいほど対応できる重量が増えるということになります。同じサイズだけれどもロードインデックスの値(LI値)だけが違っていますよね。
つまり、本来ならば225/45R17というサイズは91というLI値なのが、エクストラロード規格の94に沿って製造することで、重い車でも装着できるということなんです。
空気圧はどうすればよいのか?
ここで問題になるのが、元々スタンダード規格である車にエクストラロードのタイヤを取り付けた場合です(その逆はおそらく不可)。もちろん、サイズが合えば問題なく装着できますが、空気圧は変わってしまうんです。なかなかにややこしいですよね。
エクストラロードは、空気をたくさん入れられるようにしたために、スタンダード規格の空気圧では足りないんです。つまり、車の指定空気圧を無視して、エクストラロードの規格で空気圧を調整する(増やす)必要があります。
「そんな難しいことするの? まさか計算しろってこと?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん大丈夫ですよ(笑)。タイヤメーカーに対応表がありますので、それを見ていただければ、簡単に空気圧が分かります。
メーカーの対応表で確認して、適正な空気圧に調整しましょう。
空気圧が適正でない場合はどうなるのか?
ところで、空気圧が適正でない場合はどうなるんでしょうか? 空気圧が高い場合と低い場合の2通りに分けて説明しましょう。
空気圧が高いとどうなる?
空気圧を高くする方は比較的多いようです。なぜなら、燃費がわずかですが良くなる場合が多いからです。燃費が良くなるのであれば高くしたくなるのが人情ですよね。ですが、その反面としていくつかの問題があります。
一般的には、乗り心地が硬くなったり、変摩耗してしまったりします。空気圧が高いということは、空気がたくさん入ってタイヤが硬くなるということです。また、パンパンに張ってしまうので、タイヤ接地面が丸く盛り上がって部分的に減るんです。
すると、せっかく燃費を稼いでも、タイヤが早く減ってしまってプラスマイナスゼロになりかねないんですよ。なので、経済的にはあまり得しないかもしれません。
空気圧が低いとどうなる?
空気圧が低いとどうなるのかというと、乗り心地が良くなる場合があるようです。タイヤのクッション性が増すので、柔らかい乗り心地になると思います。ところが、低すぎると高速走行時にスタンディングウェーブ現象が発生するかもしれません。
これは、タイヤの張りが足りないために、変形が連続して起こってしまうんです。接地面がつぶれた状態になるのは想像できると思いますが、それが直らないうちに次々と変形して波打つようになり、最悪の場合バーストします。
なので空気を少なくするのは問題ですし、燃費も若干悪化する可能性がありますよ。
まとめ
タイヤの空気圧は、適正値があることをご理解いただけましたでしょうか。これはタイヤ全般に決まっているのではなく、車ごとに指定されているものなので、それに従うことが大切なんですね。自分勝手な空気圧に調整すると、様々な問題が出るでしょう。
燃費向上を狙って空気圧を高くすると変摩耗する危険性があるし、乗り心地向上を狙って空気圧を低くすると、スタンディングウェーブ現象を引き起こしかねません。空気圧は高くても低くてもよいものではありません。指定の空気圧が適正なんですね。
指定の空気圧は運転席側のドアを開ければすぐに確認できますので、その数値に従って最適な空気圧に調整してください。できれば、気温による空気の体積変化も考慮すると、空気圧を一定に保ちやすくなりますよ。
もし、空気圧を指定以外の数値に調整する場合は、リスクを十分考慮して過度に変更しないようにしてください。結局、標準の状態が一番確実ですからね。
以上、タイヤの空気圧に関する適正値というお話でした。
コメント